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 米電気自動車メーカー、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は7日、同社の株式非公開化を検討していると、ツイッターへの投稿で明らかにした。非公開化が実現すれば、赤字が続くテスラへの圧力は緩和する見込み。この発表は投資家を驚かせ、テスラの株価は一時約13%高となった。マスク氏のツイートに先立ち、サウジアラビアの政府系ファンドがテスラ株を約20億ドル(約2230億円)相当まで買い増したと報じられていた。

 しかし、テスラ株約20%を保有するマスク氏が非公開化完了に必要な660億ドルをどうやって用意するのかなど、多くの疑問点がある。マスク氏が買い取るとしている1株当たり420ドルを基にしたテスラの評価額は債務も含め約820億ドル。マスク氏は株式非公開化を実現するためには過去最大規模のレバレッジド・バイアウト(LBO)を行う必要がある。これまで最大のLBOの例は2007年の電力会社TXU(当時)。

 マスク氏は従業員宛ての電子メールで、「そうしようとする理由は、要するにテスラが最も良く運営できる環境を作り出すことだ」と説明。株価の大きな変動は従業員を「ひどく動揺」させるほか、上場企業であるために「テスラは、ある特定の四半期のためには良くても必ずしも長期的には適正ではない決定をするよう強大な圧力を受ける」と述べた。

 マスク氏は、自分が株式非公開化を推し進める決定を下すか、そしてCEOを続けるかを最終的に決めるのは株主だと述べた。

 マスク氏は以前から、投資家やメディアからの監視の目に怒りを示してきた。同氏は15年1月のブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、自分が率いるスペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(スペースX)を非公開会社として運営するメリットを語る一方、10年6月のテスラの株式公開への不満を表し、「上場企業は多くの雑音に取り囲まれる。人々は株価や企業価値についてあれこれ言い続ける。どんな企業でも株式公開が経営者の付帯的コストを増大させることは確かだ」と語った。


テスラのEV「モデル3」(7月18日、中国浙江省杭州市=時事)

 ベンチャーキャピタル会社ループ・ベンチャーズのマネジング・パートナー、ジーン・マンスター氏は、テスラを非公開会社にするのは「非常に道理にかなう」と指摘。「マスク氏は上場会社を経営したくないと思っている。彼は壮大な構想を抱いており、株主の四半期ごとの期待に応えることは難しい。われわれはマスク氏が実際にこれを成し遂げる確率は3分の1とみている」と述べた。

 テスラは多額を借り入れられる企業の典型とは異なり、上場以来毎年、営業損益は赤字となっている。またセダン「モデル3」の生産目標を達成しようとする中で、高水準のフリーキャッシュフローの赤字が続いていた。

 ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、ジョエル・レビントン氏は、株式非公開化の可能性は「極めて低い」とした上で、「フリーキャッシュフローが赤字の事業にとって500億ドル余りを調達するのは、異例とは言わないまでも難しいだろう」と指摘した。(ブルームバーグ)

引用元:日刊工業新聞